大判例

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札幌地方裁判所 昭和40年(ワ)561号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕被告は、本件請負残代金債権については、仮差押の解放ないし解除を条件とした支払義務を負うのみであり、また、原告は被告に対し右請負残代金債権の確認を請求しうるにすぎない(したがつて、即時の給付請求は許されない)と主張するので判断する。

債権に対する仮差押は、第三債務者に支払をなすことを禁止することによつてなされるものであるが(民訴法第七五〇条第三項)、その機能は将来なさるべき本執行の遂行を保全することを目的とするものであるから、かかる保全目的の達成のためには仮差押の目的物たる仮差押された債権の現状を維持しておけば必要かつ十分である。したがつて、そのためには、仮差押債権のために、仮差押債務者が仮差押を受けた自己の債権に基づいて現実に取立をし、または、強制執行を行いその換価金から配当を受けることを禁止し、また、第三債務者が現実の支払をすることを禁止するとともに、あえて自ら任意の弁済をした第三債務者をして二重払の危険(―第三債務者が仮差押債務者に支払をしても、その支払を仮差押債権者に対抗できないから、仮差押債権者が本案訴訟において勝訴の確定判決などを得て、これに基づき取立命令または転付命令の発付を受けたうえ第三債務者に支払を求めたとき、第三債務者は再度差押債権者に支払をしなければならない―)を負担させれば足りるのであつて、仮差押債務者が第三債務者を相手方として仮差押を受けた債権につき即時の給付の訴を提起することは勿論、その判決を債務名義として差押をすることも何ら差し支えないものと解するを相当とする。

もし仮差押の存在によつて仮差押債務者が実体法上の取立権能を奪われるものとすれば、仮差押の保全の目的を越えて、仮差押債務者の犠牲(―現実の受領行為が禁止されることはやむを得ないとしても、即時給付の請求が許されないとすれば、仮差押が解除された場合、さらに新たに給付訴訟を提起し、または最初の段階から強制執行を繰返さなければならない―)において、第三債務者を不必要に保護する(―第三債務者の保護の観点からいつて、第三債務者が強制執行の結果として現実の支払を強制され、その意思に反して二重払の危険を負わしめられることだけを避けられれば十分で、さらに進んで債務者からの給付請求を拒否し得べき抗弁権を与える必要はない―)結果となり肯認できない。(井田友吉)

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